ホーム >心臓病をよく知ろう>食事と運動はかけがえのない良薬

心臓病をよく知ろう

最近、抗老化や抗加齢という言葉がよく聞かれるようになりました。しかし、よく考えてみると、不老長寿の薬、それは人類が太古から、夢見てきたものです。以前より、動脈硬化研究の考え方の一つとして、米国の医学者ウイリアム・オスラー先生の「人は血管とともに老いる」と言う名言があります。実は、心筋梗塞や脳梗塞と言った致命的な血管病の発症に老化が大きく関わっています。血管の老化を促進する主要因が、過食や運動不足であることは言うまでもありませんが、老化の仕組みが少しずつ科学的に解明され、老化を予防することが決して不可能ではなくなってきました。
老化に関して、二つの重要な研究課題があります。ひとつはカロリー制限です。蛋白質、脂質、炭水化物などを確保し、総カロリー量を制限すると、寿命が延長すると言うものです。重要なことはカロリー制限によって、さまざまな遺伝子や蛋白の発現が認められ、これによって寿命が長くなることが解ってきたことです。つまり、カロリー制限は生物にとって能動的かつ普遍的な寿命延長プログラムであります。もうひとつは、活性酸素説です。活性酸素が単に遺伝子、蛋白、脂質を傷害させるだけではなく、活性酸素が細胞内でシグナルとして働いているからです。
加齢に伴う「酸化ストレス」の蓄積が、老化の原因であると考えられています。抗酸化酵素活性と動物種の寿命は見事に比例し、抗酸化能がすぐれた動物ほど長生きをします。したがって、いかに抗酸化能を持ち合わせ得るかどうかが重要です。この抗酸化能は有酸素運動により増加し、運動不足により低下することが科学的に解っています。
メタボリックシンドロームの病態は、カロリー摂取過多や運動不足による内臓蓄積型肥満に糖代謝異常、脂質代謝異常、血圧上昇が合併し、しかも将来、心血管病を発症させます。これはまさに老化防止の寿命延長プログラムに逆らった現代人の大きな過ちです。「21世紀の医療は治療から予防の時代に入った」とも言われています。これまで平均寿命を延ばしてきた医療から、健康寿命を延ばせるような医療を考えてみたいものです。それには日々の生活における適切な食事や運動は、もしかするとかけがえのない良薬かも知れません。